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日本代表対ニュージーランド~バランスを綱渡りするハリルホジッチ

サッカー関連
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サポーターに愛されないハリルホジッチ。ハリルに対する批判を紐解く

 

ハリルホジッチの日本代表に対する批判で「試合がつまらん」とか「選手起用が保守的」といった意見が多い。だがこれははっきり言ってハリルホジッチという男に監督を要請した以上仕方の無い事だろう。

彼の哲学は「絶対に勝つ」ではなく「絶対に負けない」というモノなのだ。

極限まで相手の長所と自分のチームの短所の差を縮め、負ける可能性を最大限に排除する。仮に勝てなくて引き分けたとしても、W杯なら勝ち点1だ。それがハリルのサッカーであり、そこには華やかなスター選手もエンタメ要素の強い試合展開も必要ないのだろう。

彼はアウトサイダーのチームを率いてカップ戦に勝つことに長けた監督であり、そのために必要な要素を逆算して日本代表に注入していっているのだろう。

それなのに日本人に彼の哲学が受け入れられないのは、彼の哲学が「強くなって勝つ」ではなく「弱いまま勝つ」というモノだからだろう。


ザッケローニは前者だった。日本人にもその哲学は受け入れられた。だがブラジルではその哲学で構築されたチームは恥辱に塗れた。故にハリルホジッチという超現実主義の男がやってきたのだ。

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ニュージーランド戦で見えた日本の現状とハリルホジッチの諦念

 

そんなハリルホジッチが今もっとも頭を悩ませているのは中盤の構成だろう。

まず長谷部は絶対として、今回の試合では長谷部がいないシチュエーションでのプランBを構築したいという狙いが見えた。

今回ハリルホジッチは井手口と山口蛍のダブルボランチをチョイスした。この選手器用がおそらく日本のサポーターには不評なのだろう。実際ボール奪取を得意とする二人を選んだこの組み合わせは攻撃面では変化に乏しかった。

だがハリルホジッチは最終予選にぶっつけ本番で川崎フロンターレの大島を抜擢したり、ボールプレイヤーを中盤の底に置くと言う選択肢も一応持っている。

しかし最終予選が進むにつれて、守備的な選手を中盤底に置く方向に舵を切ったように見える。このハリルホジッチの決断の原因を私なりに次の項で推測してみた。

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歴代日本代表の中盤の組み合わせから見えてくる日本サッカーの問題点

 

ハリルホジッチが守備的な選手を中盤の底に置く決断の原因を紐解くため、そしてアンチハリルのサポータにはもう一度考え直してもらうため、資料としてこれまでの日本代表の中盤の組み合わせの遍歴をまとめてみた。

 


98W杯
山口(守備) 名波(攻撃) 中田英(攻撃) GL敗退
02W杯
稲本(守備) 戸田(守備) 中田英(攻撃) ベスト16
06W杯
福西(守備) 中田英(攻撃) 中村(攻撃) GL敗退
10W杯
阿部(守備) 長谷部(守備) 遠藤(攻撃) ベスト16
16W杯
長谷部(守備) 遠藤(攻撃) 本田(攻撃) GL敗退

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日本サッカーの恒久的な弱点・育成の敗北

 

察しの良い人はもう私の言いたい事に気付いたかもしれない。

そう、日本代表は中盤が守備的MF2人攻撃的MF1人で構成されている時しかグループリーグを突破していないのだ。

ハリルホジッチは日本人の対人の弱さ、カバー範囲の狭さ、ゾーンデフェンスの理解力の低さからダブルボランチに攻撃的な選手を起用することは不可能だと悟ったのだろう。


故にハリルホジッチはボランチに攻撃的選手を「選ばない」のではなくて「選べない」のだ。

 

つまりハリルホジッチはスペクタルなパスサッカーを「しない」のではなく「出来るチームを有していない」のだ(あくまでも世界基準での話。アジア限定なら可能。)

おそらくサイズが無くてもルカ・モドリッチのように攻守においてチームに貢献できるワールドクラスのプレーヤーならハリルホジッチはスタメンで使うだろう。

ただ現在の日本代表にはそんなハイクオリティな選手はいるはずもなく、それ以外の方法で日本代表を勝たせる方法を構築する必要があるのだ。

 

ハリルホジッチからすれば「スペクタクルなパスサッカーしたいならブスケツ、モドリッチ、ポグバレベルの選手用意してくださいネ。日本人ちゃん。チーン」といったところなのだろう。

その証拠に、この日も格下のニュージランドに対してホームで同点という展開にも係わらず、香川に代えて小林、井手口に代えて倉田と大きくバランスを変えるような交代は避けている。倉田は若干攻撃よりの選手なので井手口→倉田の交代はハリルにとってはリスキーな決断だったに違いない。まぁ小林は香川より守備で貢献できるのでプラマイ0なのかもしれないが。(この交代は後半37分という試合終了間際に行われた。)

結果この交代が決勝点につながったわけだが、格下相手にホームでこの得点力の低さはハリルホジッチも悩ましいだろう。

守備的MF2人攻撃的MF1人のバランスなら攻撃の火力不足。守備的MF1人攻撃的MF2人のバランスなら守備力の低さから失点を重ねる可能性がある。

アウェーのサウジアラビア戦、ハリルホジッチは負けている展開で柴崎を交代させて前線にロングボールを掘り込んだ。

この采配を批判していた人も多い。だがハリルホジッチの哲学では理に適っているのだろう。守備的MF2人(井手口、山口)で守備のバランスを保ちつつ、前の4人で何とか少ないチャンスをモノにする。この采配は失敗に終わったわけだが、おそらくハリルホジッチはブレずにこの哲学を貫き通すのだろう。

ロシアW杯終了までギリギリのバランスを綱渡りするハリルホジッチと塩展開にヤキモキする日本代表サポーターの攻防は続きそうだ。私はその攻防が終わる時日本代表がどんな成績を残しているかを楽しみにしたい。