邦楽編①
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☆が今回の個人的な最優秀作品
BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」☆
映画『億男』の主題歌。おそらく彼らの近年の作品の中では最高傑作。曲調としては「Supernova」とか「花の名」に近い。この曲はメロディも素晴らしいのだが、特筆すべきは藤原基央の歌詞だろう。「ガムを紙にぺってして」「平気さ お薬貰ったし 飲まないし」のような口語的な表現を多用して、作詞家として新境地を開拓している。音楽業界に溢れかえっている「コードを掻き鳴らしながら自己肯定的な歌詞を歌えばいい」と思っている自身のフォロワー達との差別化に成功している。この曲のクオリティを聴くと、バンプフォロワーと呼ばれている野田洋次郎や米津玄師とは格が違うと言わざるを得ない。あっぱれ。
小西真奈美「Here We Go」
あの女優の小西真奈美の作品です(笑)作詞は彼女自身。作曲は「小西真奈美とKREVA」とクレジットに書いてある。最初は「ま~た人気女優に歌わせんのかよ。芸能界の人間は何回失敗しても懲りねぇな(笑)」と思ってたので、正直クオリティの高さに驚いた。
このサビの浮遊感溢れるメロディは中々の出来。このメロディをメロディメイカーとしては凡庸なKREVAが書いたとは思えないので、おそらく彼女自身の手によるものだろう。なんか作曲初心者特有の既成概念に捕らわれていない自由奔放さ・処女性の高さが、ただただ美しくて心を奪われた。
邦楽編②
JUJU 「メトロ」
平成を代表する音楽プロデューサー「松尾 潔&小林武史」とのコラボレーションシングル!というのウリにした曲。作詞が松尾 潔で、作曲が小林武史である。前回のレビューで小林武史がDAOKOに書き下ろした「終わらない世界で」を絶賛したが、これはマジで駄作。コバタケの書いたメロディが地味過ぎる。JUJUは歌唱力こそ高いが、声質は地味なので、「地味なメロディ×地味な声質」で印象に全く残らない。松尾 潔は世渡り上手なだけで作詞家としては下の下なので、当然歌詞はありきたりなJPOP。
ただPVの小松菜奈ちゃんはカワイイ(笑)
Rei 「Silver Shoes」
FM802 2018年11月のヘビーローテーション曲。気付いた人もいたかもしれないが、Sing Streetの「Up」という曲を豪快に丸パクリしている(笑)そしてサビからはU2の「With or Without You」をパクったMr.Bigの「Shine」を丸パクりしている(笑)インターネットが無ければ騙せたんだけど、今のご時世では難しいだろうな。
だが彼女の声質と曲調がマッチしており作戦勝ちの一曲といった感じ。彼女の問題点は歌唱力。ラジオで生で歌っているのを聴かしてもらったが、この曲のサビの音程が超不安定だった。ボイトレしないと世に出るのは難しいだろう。
洋楽編
Lady Gaga, Bradley Cooper 「Shallow」
『アリー/ スター誕生』の挿入曲。曲の雰囲気はブルース・スプリングスティーンの「River」のようなフォークソングになっている。レディー・ガガが純粋にシンガーとして音楽に向き合っているのが印象的。ただマイナコードのバラードは彼女の声質には合わないかな。彼女は声質が濃厚過ぎて、胸焼けがする(笑)やっぱ自分は「Bad Romance」のような軽妙なポップソングを歌って、知的なピエロを演じている彼女の方が好き。
Paul McCartney 「Fuh You」☆
御大ポール・マッカートニーの新曲。ニューアルバム『エジプト・ステーション』が『タッグ・オブ・ウォー』以来36年ぶりの全米チャート1位を獲得したらしい。76才でこれだけポップでユニバーサリーな評価を受ける曲書けるのは素直に凄いと思うわ(笑)よく「ジョン・レノンの曲はアートだけど、ポールの曲は只のポップソング」的な批判をする人がいるが、この曲は「ポップで何が悪いんじゃ!これが最高で、みんな好きなんだよ!」という開き直りが気持ち良い。
Avril Lavigne 「Head Above Water」
ライム病(マダニを介して菌に感染する病気)からカムバックした彼女の新曲。彼女が過去のインタビューで「自分の事をポッププロダクトだと思っている」と自信の役割を語っていたが、闘病中の経験を歌にしたこの曲でも、そのポッププロダクトとしての役割を忘れていない彼女のプロ根性に拍手。
総括:何と言ってもバンプの名曲が誕生したのは嬉しい。だがこのバンプがデビューしてから18年経っているという事実(笑)洋楽でもポール御大が頑張っているが、洋楽でも邦楽でもそろそろ若手が出てこないと…。