無能監督ダービーはジダンに軍配
試合を観た率直な感想…。
両チーム共に選手の才能を活かせてない感が半端ない(笑)
マドリーに関しては言うまでも無いが、PSGはヘスス・スアレス氏がWSDのコラムで書いていた通り「極めて凡庸なチーム」であった。私はそんなにPSGの試合を観てないので「あのメンツで凡庸はないだろ(笑)」と思っていたが、蓋を開けてみるとやはりエメリはエメリであった。
footballistaのインタビューでシャビ大先生も言っていた事だが、エムバペは間違いなく大器だ。しかし力任せのプレーが多く、このままだとただの脳筋プレーヤーになりかねない。ファーガソンの薫陶を受けたロナウドのように彼が良い指導者に巡り会える事を願うばかりだ。
世間のリアクションを見ていると「やっぱマドリーはCLだと強い」「名門の歴史とプライドを感じた」みたいな意見が多かった。たしかに全選手の頑張りは感動的だったが、PSGが思ってた程強くなかったのも事実。私の本音を言わせてもらえば、この試合のPSGは本来のマドリーなら1st Legだけで勝負を決めれるレベルの相手だったと思う。
というわけで喜ぶファンの気持ちもわかるが、ここで過剰にマドリーを持ち合げるのは如何なものか?というのが今の私の偽らざる心境である。
なぜならいつも通りジダンの采配は今日も的外れだったからだ。
BBCを「プランA」、イスコシステムを「プランB」とするなら、デフェンシブな相手にはAもBも通用しないのが現状である。(オフェンシブな相手にはプランAは有効)つまりジダンに求められるのは「プランC」の発明であり、「信頼ガー」とか言っている場合ではない。
と書いた。
そして前節ソシエダ戦で
ただこの試合の前半の内容と結果を見れば前線ABCが「プランC」として十分計算できるというが理解していただけたと思う。ていうかマドリディスタのほぼ全員が前線ABCを待望していて、ジダンだけがその魅力に気付いていないというのが真実か。
PSG戦はお馴染みの「プランA」+ナチョではないかなと思っている。ただこの「プランA」はオフェンシブな相手には有効なので、これが間違えているとも一概には言えない。
と書いた。
なのに蓋開けてみれば4-3-1-2のイスコシステム(プランB)であった。ジダンいわく「中盤の優位性の確保」との事だが、まったく効果が見えなかった。
昨シーズンのバイエルン戦の2nd Legで、強力なウイングを擁する4-3-3のバイエルンを相手に4-3-1-2を採用して爆死しかけたのに、何故4-3-3のPSG相手にまた4-3-1-2を採用?しかもPSGのウイング陣はバイエルンよりも強力だ。案の定サイドの数的不利を使われ失点。
何度も言うが、この日の選手達は頑張りは感動的だった。勿論そこにイスコも含まれる。だが見方を変えればジダンの采配ミスの損失を選手が個人能力の高さとマドリディズモでカバーしたとも受け取れる。というわけでジダンの采配が勝利を手繰り寄せた的な論調には同意できない。
PSG戦のジダンの采配
PSG戦のジダンの采配を紐解くと、
①試合開始からベイル投入の68分まで→イスコシステム(プランB)withナチョ。トットナムに1分1敗だった布陣。トットナム戦はナチョの所にアクラフ。
②ベイル投入からアセンシオ投入の79分まで→セルタに引き分けた布陣withナチョ。セルタ戦はナチョの所にカルバハルだった。
③アセンシオ投入後→アセンシオシステム(プランC)withベイル&ナチョ。毎回大量得点の布陣。
この様にジダンは79分まであまり結果の出てない布陣を採用し、最後の10分だけ機能している布陣を使ったというだけである。なのでジダンの采配が流れを引き寄せたのではなく、プラマイ0に戻しただけである。
なので最初から適切な布陣で臨んでいればもっと楽な状態で2nd Legに臨めたのでは?と私は考えている。
前にも言ったが、イスコトップ下の布陣はボール支配率が70%ぐらいなければ勘定が合わないというか、攻守が目まぐるしく入れ替わる展開だと負債の方が大きい。グアルディオラやアンチェロッティなら機能させれるかもしれないが、ジダンには無理だろう。なぜならグアルディオラやアンチェロッティはカゼミーロをアンカーで使わないでクロースかモドリッチをアンカーにするからだ。ジダンにその勇気は無いだろう。
特に②の時間帯はかなり酷かった。何の意図があるか知らんが、ベイルもイスコもロナウドも前残りさせて、守備がスッカスカ(笑)攻撃でも全く良いシーンなし。この時間帯に失点しなかったのは選手の頑張りがあったからである。
頼むからフラットな4-4-2で守ってくれ(笑)
②の時間帯のヤバい守備をピックアップ。
マドリーの右サイドを攻めるPSG。
なぜかカゼミーロがサイドに釣り出されている。
数的不利で簡単に突破される。
完全に崩されているが、九死に一生を得る。アウベスはザッサ~。
このように数的不利から簡単にサイドを突破されるシーンが多発した。
誰がどのエリアを担当するか不明瞭なので、大人しく4-4-2のフラットで守ってくれ。2nd Legもこの形を継続するなら、逆転負けを喫しても不思議ではない。さすがに無能で弱腰のエメリも次は攻撃的に来る。なので守備の整備は急務である。整備っていうか普通の4-4-2に戻すだけでいいのだが(笑)一体ジダンが何を考えてこの布陣を好んでいるのか皆目見当つかない。
あのロナウド(33才)が自主的に守備をするくらいこの布陣はヤバい(笑)
ジダンには中盤の優位性の確保(ポゼッション時)=サイドの数的不利(非ポゼッション時)という事をいい加減重く受け止めてもらいたい。このままではモドリッチとクロースが過労死してしまう。
とりあえず4-3-1-2は勘弁。
ここから快進撃?お、おう(笑)
試合のスタッツを。
続いて個人の走行距離。
1位:クロース(13.362km)
2位:モドリッチ(12.003km)
3位:ナチョ(11.492km)
4位:イスコ(11.491km/79分まで)
5位:ラモス(11.385km)
6位:ヴァラン(11.320km)
7位:カゼミーロ(10.992km/79分まで)
8位:ロナウド(10.749km)
9位:マルセロ(10.574km)
10位:ベンゼマ(9.404km/68分まで)
11位:ナバス(4.094km/GK)
12位:ベイル(2.913km/68分から)
13位:バスケス(2.036km/79分から)
14位:アセンシオ(1.829km/79分から)
ひゃっ、123.64km?!
これがビッグマッチ界王拳か(笑)ジダン的には「うむ、これで3連覇やな(真顔)」と思っているかもしれないが、実際は「両監督の采配ミスをピッチに立った両チームの選手達がクオリティと気迫で覆い隠した」という試合であった。
というわけでもっと精度の高い経験豊富なチームだったら負けていた試合だったことは忘れてはいけない。PSGは素晴らしい選手が揃っている素晴らしいチームだが、マドリーのレベルには無い。故に「勝つのは当然であってどう勝つか?」が重要であって、「どう勝つか」の部分では物足りない試合となった。
そして心配なのはCLストレートインが危ういリーグ戦である。
今週末マドリーはベティスとベニート・ビジャマリンで戦う。
前半戦、ベティスにはホームで苦杯を舐めており、PSGとの2nd Legよりも現時点ではコッチの方が重要である。この試合で勝ち点を落とせば、チームに漂う高揚感も消し飛んでしまうだろう。加えて、ビッグマッチ界王拳を発動した後のマドリーは、舐めプをかまして格下に負けるのが定番パターンである。クライフ追悼試合のクラシコに勝利した後にウォルフスブルグに負けたのはファンならよく御存知だろう。
前述した通りこの試合に出場した選手はかなり消耗している。特にクソ布陣のせいで過労死しかけているクロースとモドリッチは休ませるべきだ。今ジダンに課せられたミッションはPSG戦で出番の無かった若手を起用してベティスに勝つことだ。このミッションが成功するかしないかが今シーズンを占う上で非常に重要な気がする。
一番最悪なのは、PSG戦と変わらないスタメンでベティス戦に臨み、勝ち点を落とす事だ。そうなれば出番を与えられなかった若手達が不満を溜め、同時にスタメン組みの疲労も溜まるのは目に見えている。ベティス戦はジダンの英断を期待したい。
選手評
ナバス 失点シーンはナチョと被ってしまった。まぁでもそれ以外は頑張ってくれた。
マルセロ 守備の負債を上回る利益を攻撃で上げる。そろそろ休ませたい。
ラモス 今シーズン1番の出来を見せる。カバーニに仕事をさせなかった。
ヴァラン ネイマール、エムバペというスピードスターを完全に抑えた。やっぱ才能はあるんだよな。
ナチョ 忙しかったと思うが、堅実なプレーを披露。
カゼミーロ いつもより上がりを抑えて守備で貢献。中盤の布陣が歪な構成であった事を考えればこれ以上は求められない。
モドリッチ 世界最高のMFである事を証明。ヘスス・スアレスが「ヴェラッティとモドリッチはテーブルワインと高級ワインぐらいの差がある」と書いていたが、まさにそれぐらいの差があった。ベティス戦は休ませるべき。
クロース モドリッチに次いで世界で2番目のMF。やはり真面目にやっている時の彼はスーパーだ。運動量も素晴らしかった。(13.362kmも走った)彼も休ませてあげたいがジダンの判断は如何に?
イスコ 頑張っていたのだが、守備の時にどこのエリアを担当するかが不明瞭なのが気になる。その問題がクリアになればいいのだが。
ベンゼマ 今日のカバーニのプレーを観てもらえば、ベンゼマが9.5番として異次元なのは理解できたのでは。個人的には評価している。
ロナウド 2代目インザーギを襲名。非論理的な決定力は賞賛に値する。ハットトリック出来たと思うが、守備も協力的だったし、これ以上は求められない。
ベイル アセンシオに出したパスは見事。もっと早く投入するべきだったと個人的には思う。
バスケス この布陣だと彼の利他的な部分が活かせる。だがコバチッチの方がチームにとって有益だと私は考えている。
アセンシオ あの時間まで温存されていたのは謎。彼が先発ならもっと楽に勝てただろう。
ジダン 先発の布陣は謎。勝ったのは選手の能力のおかげである。ここにきて4-3-1-2を諦めていなかったという事実が発覚した事は嫌な予感しかしない。お願いだから賢明な判断をしてもらいたい。アセンシオを先発に組み込む事を本格的に考えるべきだ。