歴史に残る名作とされる「クロノトリガー」と評価が低い「クロノクロス」
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*ネタバレが含まれています
最近steam版が発売され未だに高い人気を誇るクロノトリガー。(steam版は不評のようだが)私はクロノトリガーもクロノクロスも、子供の頃リアルタイムで遊んだクチだが、正直この2つの作品の繋がりに関しては当時全く理解出来ていなかった。
クロノクロスの評価が低いのは非常にストーリーが難解で、話の主旨が伝わっていないのが原因なのでは?と個人的には思っている。(キャラデザインが鳥山明じゃないというのもあるだろうが)
大人になってから色々と調べて行く内に、非常に素晴らしいストーリだったという事に今更気付いたので、それについてここに書きたいと思う。
まずクロノトリガーのストーリーについて簡潔に説明すると、
時は西暦1000年、ガルディア王国に住む主人公クロノと、幼馴染のルッカと、クロノに想いを寄せるマールは、偶然の事故から時間を移動する手段を発見し、やがて荒廃した時代(西暦2300年)に行き着いた。 そしてクロノ達は、そこが謎の生命体「ラヴォス」によって滅亡した、自分たちの未来であることを知る。クロノ達はラヴォスの出現した原因を突き止めて、未来を救うことを決意する。 |
という話である。
そしてクロノクロスのストーリを説明すると
時は西暦1020年、アルニ村という場所でストーリーは幕を開ける。主人公・セルジュは幼馴染のレナにトカゲの鱗を取ってほしいと頼まれ、トカゲの鱗を集めたセルジュは待ち合わせのオパーサの浜に行く。 レナとの会話中にどこからともなく「セルジュ..」と不思議な声を聴く。その後セルジュは波に呑みこまれて気を失ってしまう。しばらくして目覚めたセルジュは村に帰り、レナに話しかける。するとレナは「だれ?あなた見かけない顔ね。」と言う。そしてセルジュのことを昔死んだ友達に似ていると言う。 その後レナに教えられた、その死んだ友達の墓にやって来たセルジュ。その墓にはこう書かれていた「我が最愛の息子セルジュ やすらかにここに眠る 享年7歳~」そして背後に3人組の男達(カーシュ、シュガール、ソルトン)が現れ、こう言う「おまえか?10年前に死んだ、セルジュとかいう小僧の亡霊は?」そして自分達はセルジュをある男(ヤマネコ)の元に連れて行かなければいけないと告げられる。すると突然キッドという少女がセルジュに助太刀し、3人組を協力して追い払う。 そしてキッドに「一緒に行かないか?」と誘われ、セルジュは自分に何が起こっているのかを知るために旅に出る。 |
という話である。
おそらくこの説明だけで、クロノトリガーとクロノクロスの「つながり」を理解できる人はいないだろう。
だがどちらも未プレイの人は、かなりプレイ欲が沸くストーリーではないだろうか?特にクロノクロスは黒歴史扱いされているが、かなり惹きこまれるストーリだと個人的には思うのだが…。
トリガーとクロスをつなぐラヴォスとサラ
トリガーとクロスのつながりを理解してもらうためには、この2作を繋ぐ「ラヴォス」と「サラ」について深く理解する必要がある。
全く知らない人は「まずサラって誰やねん?」と思われたと思う。サラについて説明すると、
紀元前12000年に魔法王国ジールという王国があった。魔法王国ジールでは紀元前6500万年に地球に舞い降りたラヴォス(この時代ではまだラヴォスは目覚めていない)を、魔神器という機械によってエネルギーに変えて栄えていた。 その魔神器をコントロールする役目を任されていたのが、並外れた魔法力を持ったサラという一人の女性であった。ちなみにサラは王国ジールの王女であるジール(人名)の娘で、ジャキという一人の弟がいた。そしてサラは魔神器は制御仕切れずに、ラヴォスに取り込まれてしまった。 |
かなり省略してるがまぁこんな感じ。
しかしクロノトリガーではクロノ達がラヴォスを倒す所でストーリは終わっており、その後サラがどうなったかは描かれていない。クロノクロスはそれを補足した作品と言えるかもしれない。
ラヴォスに取り込まれたサラは時空の狭間をさまよう内に、ヒョウ鬼に襲われて毒に苦しんでいた幼い一人の少年の泣き声を聞き、その時代にアクセスする。勘の良い方はもう気付いたかもしれないが、その少年がクロノクロスの主人公のセルジュ(この時3才)である。
そしてセルジュを助け出すためにサラは自分の分身を産み落とす。この分身がクロノクロスに登場するキッドである。そしてサラの分身であるキッドを拾い、孤児院で育てるのがクロノトリガーに登場したルッカなのである。
これがクロノトリガーのエンディングで描かれた、ルッカがキッドを見つけるシーン。
「じゃあキッドがセルジュを助けたらいいだけの話やん」と思うかもしれないが、これがそう簡単に行く話ではないのだ。
ラヴォスも黙ってなかった…
前述した紀元前12000年のジール王国の時代に、ラヴォスのエネルギーを使うのは危険と女王に進言した賢者がいた。その男の名はガッシュ。
ガッシュは女王ジールによって時空の渦に呑みこまれ、2300年に飛ばされてしまう。この時代は本来ならラヴォスによって崩壊している時代だが、クロノ達がラヴォスを倒した事によって崩壊を免れた時代である。ガッシュはこの技術が発達した時代で時間研究所「クロノポリス」なる施設を設立する。
ここまでは理解してもらえただろうか?ここから急激にややこしくなるので頑張って付いて来て貰いたい(笑)
しかしクロノ達に倒されるはずの古代のラヴォスは、未来で自分が倒される事を知る。そして歴史を改変しようと試みる。そしてラヴォスはタイムクラッシュを起こして、クロノポリスを紀元前1万年の時代に呼び寄せる。そしてクロノポリスと同時に、別の時間軸(まぁパラレルワールド的な解釈でOK)の恐竜(クロノトリガーの原始時代に登場したアザーラ達の子孫)が栄えた未来(もちろん別の時間軸の2400年)から恐竜達が設立した時間研究所「ディノポリス」も紀元前1万年に呼び寄せる。
「何でそんな事できんだよ?(笑)」って話だが、実はクロノポリスとディノポリス(2400年)では、ラヴォスの体の一部である「凍てついた炎」という秘宝を使った研究を行っており、ラヴォスは遠い過去からこの時代に働きかける事ができたのだ。ラヴォスは自分が倒される未来を消滅させる事が目的だったので、その目的のために自分の体の一部を利用したという事だ。
ちなみに「凍てついた炎」というアイテムを解り易く説明すると、何でも願いを叶えてくれるドラゴンボール的なチートアイテムという認識でOK。
本線に話しを戻すと、当然いきなり同じ時代の同じ世界で出会ったクロノポリス(人間)とディノポリス(恐竜)は激しく争いを繰り広げる。そして激しい戦争の末勝ったのはクロノポリス(人間)であった。
クロノポリスのマザーブレイン「フェイト」は恐竜達を「凍てついた炎」を使って封印する。
ここでマザーブレイン「フェイト」を自分自身に置き換えて考えてみてほしいのだが、「フェイト」は自分の存在が消滅しないように、同じ歴史を人間達に繰り返させる必要があった。歴史が少しでも改変されれば「フェイト自身」が消滅する可能性があるからだ。(映画・バックトゥザフューチャーで、自分の父と母をカップルにする主人公を思い出してもらえば解り易い。)
という事で「フェイト」は人々をマインドコントロールしながら、歴史が変わらないように監視し続ける。
しかしとある事件をきっかけに「フェイト」は歴史をコントロールする能力を失う。
フェイトの誤算。凍てついた炎が選んだのは…
その事件とは前述したセルジュがヒョウ鬼に襲われた一件だ。(サラがセルジュを見つけた時)
ヒョウ鬼の毒に侵されたセルジュを治療するために、嵐の夜にワヅキ(セルジュの父)は船を出すが、船がクロノポリスに漂着。そしてこの時にクロノポリスにあった「凍てついた炎」は、セルジュの事を選ばれし者(調停者)として認識。以降フェイトは、歴史をコントロールする能力を失ってしまう。
しかしフェイトも黙っていない。フェイトは父であるワヅキの体をのっとり「ヤマネコ」に姿を変える。(どうやらフェイトは凍てついた炎に触れて、システムに異常をきたしていたようだ)そして7才のセルジュをオパーサの浜で溺れさせて殺してしまう。これが前述したセルジュのお墓の理由である。
一方、未来でガッシュは「クロノ・トリガー」で滅ぼされたラヴォスがタイムクラッシュを起こして、様々な歴史で倒れて行ったものたちの無念を取り込み続け進化したまったく新しい生命体となり、遠い未来に時空を喰らい尽くして世界を滅ぼしてしまう可能性を察知。ガッシュはセルジュに一縷の望みを託し「プロジェクト・キッド」を発足。
ガッシュは7才の溺れて死ぬはずだったセルジュをキッドを使って助けさせる。その時点で世界はセルジュが生きている世界と、セルジュが溺死した世界に別れる。ふぅー、やっとこれで話が繋がった。
そしてセルジュは物語が進むに連れて自分の運命を知り、ラヴォスに飲み込まれたサラと星の未来を救うために戦うというわけだ。駆け足で説明したので、かなり省略している。封印された恐竜達の行方、セルジュを狙うヤマネコ、フェイトと二つの世界の行方など、話してない内容がまだまだ盛り沢山。深くストーリについて知りたい方は是非実際にプレイしてみる事をオススメする。
クロノ、マール、ルッカ達の未来~トリガーのキャラをクロスでも操れる?
最初にクロノクロスが不人気の原因として、キャラデザインと難解なストーリを理由として挙げさせてもらった。個人的に原因としてもう一つ考えられるのは「クロノトリガーのキャラを一人も操作できない」という事ではないだろうか?
実はクロノ、ルッカ、マールなどはクロノクロスの世界には存在していない。非常に悲しい話になってしまうが、1005年にアカシア龍騎士団を中心とするパレポリ軍によってガルディア王国が崩壊する。それと同時期にクロノとマールは死亡したと思われる。ルッカは前述した孤児院をヤマネコが襲った時に消息不明に。おそらく命を落としたと推測されている。
ただクロスは可能性の一つを描いた作品なので、勿論3人が生存している未来もどこかに存在していると思われる。おそらくクロノ、ルッカ、マール達のその後を描いた作品であれば、世間の「クロノクロス」に対するリアクションはまた違うものだったのではないだろうか?
だが一人だけクロノトリガーに登場したキャラを操る事が可能なのだ。
ズバリそれはアルフ=ジャキ(魔王)だ。
「何でトリガーのジール王国(紀元前12000年)にいたジャキが、クロスの西暦1020年に存在してんだよ?」と思うだろうが、実はDS版のクロノトリガーのマルチエンディング「夢の終わりしとき」で、ジャキ=魔王が記憶を消し去って生まれ変わるというパターンのエンディングがあるのだ。
姉のサラがラヴォスに呑みこまれてしまう。「あなたは強く生きて…」という言葉だけを残して。
ジャキ(魔王)は生まれ変わる事を決心する。
そしてアルフに…。
つまりクロノトリガーのキャラのクロノクロスでの役割をまとめると
クロノ | 子供時代の姿で登場 |
マール | 子供時代の姿で登場 |
ルッカ | 子供時代の姿で登場(ルッカの家でのイベントも有り) |
エイラ | ルッカの家の絵で登場 |
ロボ | ルッカの家の絵で登場 |
魔王 | アルフとして登場 |
カエル | 彼の本名グレンから名前を取ったキャラが登場 |
となる。