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ケパ・アリサバラガ獲得報道から逆算するマドリーの補強戦略

レアルマドリード
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マドリーのGK獲得狂想曲を振り返る

 

最近シーズン中にも関わらずマドリー周辺が騒がしい。

CRの退団報道、ベイルの去就、そしてビルバオのケパ(Kepa Arrizabalaga)獲得報道など。ただ、現時点ではケパの獲得はまだ決まっておらず、あくまでもビルバオと契約更新が拗れているケパの状況を注視しているといったところだと私は推測している。

 

ここで気になるのは、以前からペレス会長のお気に入りであったマンチェスターユナイテッドのデ・ヘアの獲得である。たぶん多くのマドリディスタがケパの獲得報道を見て、「なんでデ・ヘアじゃないんだ?」という想いを抱いたはず。

15-16シーズンの夏は獲得寸前まで行ったが、ユナイテッド側のFAXが期限までに届かず、獲得は成立しなかった。(おそらくデ・ヘアが退団すると大幅に戦力ダウンすることを危険視した、ユナイテッド側の妨害工作と思われる)

その移籍騒動の後、デ・ヘアはユーロ2016を目前に出場機会の減少を危惧して、契約延長をする事になった。しかしその時の契約条項の中には「2016年夏の移籍期間に一定の移籍金が払われればマドリーに移籍できる」という条項があったようだ。(この時の違約金は5000万ユーロだったと言われている)

 

だがこのシーズンにマドリーはベニテスに代わってジダンが途中就任し、ミラノでチャンピオンズリーグを制覇。ということで功労者であるケイラー・ナバスを放出する事に対する風当たりが強くなり、マドリーとデ・ヘアの運命が交わることは無かった。

しかし16-17シーズンに入るとケイラー・ナバスが不安定なパフォーマンスを披露。またGK獲得報道が再燃し始めた。柴崎のフンワリミドルシュートに触ることさえできなかったCWC決勝での鹿島戦、ポジショニングミスからヨベティッチのミドルシュートを後逸したサンチェスピスファンでのセビージャ戦、メルテンスのミドルシュートに虚を衝かれたベルナベウでのナポリ戦などは批判されても仕方ない出来であった。

しかしこのシーズンにマドリーはリーガとCLの2冠を達成。ジダンがケイラー・ナバスを放出することにストップをかけて、この時もマドリーはGK補強に動かなかった。

 

思えばこの時のジダンのケイラー・ナバスに対する対応は、身内贔屓以外の何者でもないのだが、この時はCL連覇という媚薬によって批判はかき消された。しかし、シーズンに入るとこの時の判断が間違っていた事をマドリディスタは痛感する事になった。

現在、ケイラー・ナバスはケガで出場できないコンディションにあり、復帰時期も現時点では不明である。30才というナバスの年齢も相俟ってマドリーは再びGL獲得狂想曲を奏で始めた。

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なぜデ・ヘアではなくてケパなのか?

 

デ・ヘア側はガールフレンドもスペイン人ということでマドリー移籍に乗り気のようだが、DFの大部分をデ・ヘアの神ががりセーブに頼っているユナイテッドとしては、絶対に放出は避けたいだろう。

だが、デ・ヘアはあの夏以来契約延長をしておらず、まだ絶対に獲得が無いとは言い切れない状況である。

そういう状況を考えると、おそらくデ・ヘア獲得は交渉が成立するとしても、1億ユーロ越えの移籍金になってもおかしくないだろう。これはマドリーといえど馬鹿にならない金額であり、GKというポジションにこれだけの金額をかけるのは前代未聞である。

 

そこでビルバオとの関係が拗れていると言われているケパが急浮上したわけだ。

27才のデ・ヘアに1億ユーロ近く払うのであれば、10代の頃からポテンシャルを高く評価されて、尚且つビルバオと契約が拗れている23才のケパの方が、無難だというのが首脳陣の判断なのではないだろうか?

 

ケパは常に正しいポジション取りができる安定感のあるGKであり、ジダンのGKコーチのルイス・ジョピスの推薦もあり、現在クラブ内の評価は非常に高い。将来スペイン代表の正GKになる可能性も高い。これは「スペイン代表の正GKはマドリーの選手でなければならない」というペレス会長の意味不明な要求も満たしている。

勿論、サイズ・経験・空中戦ではデ・ヘアに分があり、この選択は甲乙付けがたいものがある。

だがマドリーがケパ獲得に乗り気なのはそれ以外にも理由がありそうだ。
それについて次の項で触れたいと思う。

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ケパ獲得報道は大物クラック獲得の予兆!?

 

現在、マドリーの財源には1億5千万ユーロ前後の現金がプールしてあると言われている。それも当然である。マドリーが今夏にエムバペ(ムバッペ)を補強のために捻出した補強費がそのまま残っているからだ。

マドリーとモナコは移籍金で合意していたが、PSGが18才のエムバペに法外なサラリーを提示し、エムバペの父親がそれと同等の金額をマドリーにも求めたため破談となった。

マドリーとしては払おうと思えば払える金額だが、エムバペが要求した金額は手取りで1500万ユーロと言われており、これはマドリーの給与体系で言うと「ベイル以上CR7以下」という常軌を逸した金額であった。

 

18才でプリメーラで半年しかプレーしていないエムバペにそれだけの金額を支払えば、クリスティアーノ・ロナウドやセルヒオ・ラモスには5000万ユーロ以上払わなければ辻褄が合わなくなり、マドリーとしては手を引くという選択肢以外なかった。(まぁエムバペがPSGでキャリアを終えるとは思えないが)

 

そんな紆余曲折もあって現在マドリーは「財務諸表上」は世界一リッチなクラブと言える。(まぁ一連のPSG騒動時のファイナンシャルフェアプレーのザルっぷりを見てれば何とも言えないが)

おそらくマドリーはロシアW杯終了後、今夏の補強費のプール分・来夏の補強費・来夏の選手売却益を合わせて前線の大物クラック獲得に動き出すのではないだろうか。

だがオイルマネーの参入により、移籍市場がカオスになっている現状において、すこしでも補強費を節約したいという狙いが「ケパ獲得報道」からは垣間見える。

最近、ベイルの周辺が騒がしくなってきた事も合わせて、来夏マドリーが前線のメンバーを刷新しようとしている可能性は高そうだ。

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物言う代理人との訣別

デ・ヘアのような、お得意様であるジョルジュ・メンデスの顧客も以前は噂に出ていたが、最近ではGKの噂となるとケパ以外の噂は出回らなくなった。

これには別のマドリーの狙いが垣間見える。

 

昨今の移籍市場を見ていると、代理人が必要以上にクラブにプレッシャーかけ、クラブの経営を圧迫している光景が目に付く。

ここからは私の推測だが、マドリーは金にうるさい「物言う代理人」をクラブ内から一掃しようとしているのではないだろうか?

 

今年の夏に、ハメス・ロドリゲス、ぺぺ、コエントランといったジョルジュ・メンデスの顧客を放出したマドリー。そしてクラブの補強方針に不満を呈し、退団が噂されたクリスティアーノ・ロナウド。これらの出来事は全て関連していると考えたほうがよさそうだ。

おそらくジョルジュ・メンデスはマドリー側が自分がエージェントを務めている選手達を一掃しようとしている事を察知し、クリスティアーノ・ロナウドを使ってプレッシャーを掛けていると考えられる。

 

かつてケガ明けのファルカオを法外な値段で売りつけようとした辺りから、マドリーとジョルジュ・メンデスの関係は悪化し始めていた。そして移籍市場のカオス化も相俟って、サラリーキャップ制を導入しているマドリーでは、「物言う代理人」と付き合っている暇はないという判断だろう。

マドリーはミーノ・ライオラに対する冷ややかな対応(ポグバ獲得報道を公式声明で否定)からわかるように、クラブに混乱をもたらすタイプの代理人に対しては徹底して沈黙を貫いてきた。

これは「マドリーに来たいなら金にうるさい代理人とは契約するな」、 「もしクラブにプレッシャーを掛けるような態度をとればお前がエージェントを勤めている選手とは二度と契約しない」という意味の選手・代理人に対する強烈なメッセージとも言える。

これはブランド力のあるマドリーだからできる事であり、非常にリスクのあるやり方である。代理人は自分に従うクラブに売ろうとするからだ。しかしこの考え方はペレス会長の 「全ての人間がレアルマドリードのファンであるべきだ。レアルマドリーを知らない人間すらもだ」という尊大な発言とも一致する。

 

その最たるケースが元マドリーの10番であるメスト・エジルだろう。彼はマドリディスタから愛された選手だが、代理人である父親が過剰にサラリーアップを要求したため、ペレス会長の怒りを買い、アーセナルに移籍することになった。おそらくエジルの父親がサラリーアップを要求していなければエジルはまだマドリーに在籍していただろう。そしてその代わりにディマリアが放出されていただろう。(そうなっていたらマドリーのラデシマは無かったかもしれない)

もしクリスティアーノ・ロナウドが退団すれば、今度はおそらくそのリストにジョルジュ・メンデスも名を連ねる事になるのではないだろうか。

だがそれがいつになるかは誰にもわからない。おそらくペレス会長にさえも。

先が見えないからフットボールは面白いのだ。