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PSG対バイエルンミュンヘン~短命に終わったカルロとドイツの巨人との蜜月

サッカー関連
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名将に別れを告げたドイツの巨人

 

カルロ・アンチェロッティが29日にバイエルンミュンヘンの監督職を解任された。世間の評価は様々で、「当然だ」、「早すぎる」と色んな意見が聞こえてくる。

アンチェロッティがバイエルンの監督に就任するというニュースが流れた時、概ね肯定的な意見が多かったように記憶している。

だが私はそうは思わなかった。私は良くてもペップの時と同レベルを維持するかもしれないが、ペップ時代より強くなる事は無いと予想していた。

なぜならペップのような、緻密な戦術とハードワークを求めるタイプの監督は生真面目なドイツ人と相性が良いと私は考えていたが、アンチェロッティはその間逆で選手に創造性を求めるタイプでシステマティックとハードワークが専売特許であるドイツサッカーにはフィットしない恐れがあると思っていたからだ。

 

アンチェロッティが就任当初、選手達がペップの緻密な戦術から解放された事を喜ぶコメントが多々見られたが、ピッチ上でのプレーのクオリティは次第に低下していった。選手達がアンチェロッティから与えられた余白を埋める術を持ってなかったからだ。

昨シーズンのレアルマドリー戦は、それが顕著に現れた試合だった。

ペップの戦術というシールドを無くしたバイエルンはピッチの至る所でレアルマドリーの超人達に圧倒された。戦えていたのはGKのノイアーとシャビ・アロンソぐらいだった。彼らがいなければ2試合で10失点してもおかしくなかった試合だった。バイエルン陣営は審判の責任だと声高に叫んでいたが、これは大きな間違いだ。バイエルンは選手のクオリティでレアルマドリーに大きく劣っていた。

チアゴ・アルカンタラやキミッヒやミュラーはレアルマドリーではベンチに入れるかも怪しい。この時点でバイエルンのフロントはフットボールに対する見識を見誤っていたのかもしれない。

ペップのスタイルはボクシングに例えるなら、相手のガードをジャブで下げさせて、空いた所を突くというやり方だが、アンチェロッティのスタイルはガードの上から破壊的なパンチ力で叩き壊すスタイルだ。
故にアンチェロッティに監督を任せるのなら、クオリティを持ったスーパーな選手が必要だった。しかも、シャビ・アロンソとラームが引退した次のシーズンだ、それこそネイマールとエムバペ(ムバッペ)を両獲りするぐらいの補強が必要だったのではないか。(ちなみにペップはバイエルン時代ネイマールを欲しがっていた)

断っておくがアンチェロッティは無能な監督ではない、ただ彼はオフェンスのアイデアに関しては臨機応変に選手が判断すべきだと、現役時代の経験から悟っているのだ。そしてそれはバイエルンがこれまで挑戦してこなかったことで、それを実現するべきには高級な選手が必要だったのだ。それがここ数年バイエルンがCLを勝てない原因でもあった。

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アンチェロッティ解任は時期尚早だったのか?

 

前置きはこれくらいにして本題に入りたいと思う。

 

私個人としては、バイエルンフロントが今シーズンのCL制覇を狙っっているのなら解任は妥当だと思う。だが国内タイトルを確保しつつ、世代交代を図るというのが、フロントの掲げる目標だと言うなら時期尚早という意見だ。

 

バイエルンのスカッドのクオリティを見ると、どう考えても監督が誰であろうがCL制覇は無理だ。戦術で選手の能力を数割増しにできるペップですら不可能だったのだ。ジダンと同じ系統であるリソース消費型監督(個人能力頼り)のアンチェロッティには到底無理だと言わざるをえない。

 

しかも前線の3トップには衰えが見えるし、不世出の天才と言ってもいいシャビ・アロンソ、ラームの2人が引退を選んだ。こんな状況でCL制覇を出来るとバイエルンのフロントが考えていたのであれば、それは見通しが甘すぎだ。

コマンは到底ロベリーのレベルでは無い、彼はペップの戦術の恩恵を受けて得意なプレーに集中出来ていただけで、選手に自由を与えるアンチェロッティでは判断の悪さが露呈した。

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大一番で外れたアンチェロッテイの賭け

 

おそらくアンチェロッティはラームやアロンソの引退などを受けて、今シーズンから新しくチームを作り直す考えだったのではないか。

 

昨シーズン、ロベリーの破壊力がレアルマドリー戦でまったく通用しなかった事もあって、サイドを経由する攻撃パターンから、新たに中央ルートの攻撃も加えようとしていたのは、プレシーズンから見て取れた。(アンチェロッティがいた頃のミランに近いスタイルになるのではと私は予想していた)

そういう狙いもあって今シーズンバイエルンは中央ルートの攻撃を強化する旗手としてハメスを加えたが、チームが改革の過渡期にある現時点では本領を発揮することができていない。

 

PSG戦のロベリー外しも、アンチェロッティが今シーズンバイエルンに新しい風を吹かせたいという狙いがあったのなら、腑に落ちる。

だがこの選択は「現時点」ではリスキーな決断だったとは思う。

PSGのサイドアタッカーの凶悪さを考えれば、ロベリーのようなサイドアタッカーを起用し、攻撃力で相手サイドアタッカーを押し下げる事が必要だ。

だがこの日のバイエルンはクリスマスツリー気味の4-3-3だったので、サイド攻撃はサイドバックに一任された。この日起用されたハメスとミュラーはサイドアタッカーではないので、PSGはサイドバック一枚と3センターのスライドで対応できる。(しかもPSGの3トップは割りと守備に協力的)故にPSGの3トップは割りと攻撃にエネルギーを割くことが出来たのだ。

開始早々のバイエルンの失点もこの布陣が原因だと言える。

PSGの右サイドバックのアウベスがドフリーになってしまっていた。本来はハメスがマークすべきだったが、クリスマスツリーの欠点として、相手サイドバックの攻撃に対応しづらいという欠点がある。

アンチェロッティはミラン時代に、3センターのボールサイドへのスライドと2列目の一人が3列目に落ちることで、守備の枚数を8枚にしてこの問題を解決していたが、導入にして間が無いバイエルンでは練度が足りなかったようだ。

そういうわけでカルロの決断はこの試合に限定すれば、失策だったと言える。

そしてこの試合だけで判断するなら、バイエルンのフロントがアンチェロッティをクビにするのも妥当かもしれない。

だがカルロ・アンチェロッティという男はシーズン終盤に帳尻を合わせて来る男であり、これからのバイエルンにとって財産となる基盤を作れた監督でもある。それが前述した私の解任に対する意見の理由だ。

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レアルマドリー時代のアンチェロッティ

 

レアルマドリーでも最初は前途多難だった。モウリーニョのカウンターフットボールの癖が抜けないチームを、最終的にはポゼッションとカウンターの二刀流を使い分けられるチームに彼は仕上げた。しかもCR7、ベンゼマ、ベイル、ディマリアという4人のアタッカーを共存させるというオマケ付きだ。

このシーズンも12月頃からチームが機能し始めたと記憶している。(最初のクラシコでは奇策と謎判定で敗戦)

 

仮にアンチェロッティが続投して、バイエルンに新しいスタイルを根付かす事に成功したとしても、スカッドのクオリティを考えればバイエルンのCL制覇の可能性は低いだろう。だがその試みは今後のバイエルンにとって有益な財産になる可能性もあった。そういうわけで今回のバイエルンの決断にはもったいないと思ってしまう自分がいる。

サニョルが後任で監督になるようだが、彼が就任したとしてアンチェロッティより良くなるとも思えない。(後にハインケスの就任が決定)

 

グアルディオラという「管理&創造型」最高峰の監督から、間逆のアンチェロッティという「才能開放型」最高峰の監督に鞍替えしたわけだから、反動は覚悟すべきだ。バイエルンのフロントがそれに気付いていないとしたら、次の監督選びも失敗する可能性があり、バイエルンの未来に影を落とす事になるかもしれない。