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W杯本大会に向けて動き始めたハリルホジッチ~ブラジル、ベルギー戦マッチレビュー

サッカー関連
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本田、岡崎、香川を外したのはハリルホジッチからの強烈なメッセージ

この事に触れないわけにはいけないだろう。表向きには外れた理由は「パフォーマンス面での問題」との事だが、これは間違いなく建前であり、本音ではないだろう。

本田、岡崎、香川は最もレベルの高い大会であるUEFAチャンピオンズリーグを経験しており、日本の現役サッカー選手でもっとも世界基準のフットボールを知っている選手である。

Jリーグでプレーしている選手にとって、ブラジル、ベルギー代表は雲の上の存在である。Jリーグの助っ人外国人選手とはモノが違う。私はかつて徳島ヴォルティス時代のドゥンビア(コートジボワール代表で現在スポルティング・リスボン所属)のプレーを生で観た事があるが、ハッキリ言って大人と子供ぐらいの差を感じ、衝撃を覚えた。そのドゥンビアでさえ世界のトップオブトップとは言えないのが現状である。

そういう意味では99%の日本人サッカー選手が本当の世界基準を知らずにキャリアを終えるのが日本サッカーの現状なのである。

そういう意味では今回の親善試合は世界基準を知らない選手達に経験を積ませる絶好の機会だ。本田達の実力はある程度計算できるという信頼もあるのだろう。私の推測だが彼らは所属クラブで一定の出場機会を確保できれば、また代表に復帰できるのではないだろうか。(正直、3人の中でも香川は危ないかもと思っているが….)

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初召集でラストチャンス!?策士ハリルホジッチ

そうなってくると、久しぶりに召集された森岡亮太(ワースランドベベレン)、興梠慎三(浦和)、初代表の長沢和輝(浦和)は本大会までの残り時間を考えるとこの2試合がラストチャンスと言っていいかもしれない。

ここからは私の推測だが、彼らが好パフォーマンスを披露しようがしまいが、ハリルホジッチには得しかないのではないだろうか?

仮に好パフォーマンスを披露すれば、自分の慧眼を世間にアピールできるし、Jリーグにとっても自信になる。

仮に彼らのパフォーマンスが優れなければ、 「ほら、みんなが批判する本田、岡崎、香川を外してJリーグの選手、経験の浅い選手にチャンスを与えたけど、イマイチだったでしょう?」、「本田、岡崎、香川がいかに優れているかわかったでしょう?」という風潮に世間を誘導する事ができ、結果本田、岡崎、香川が代表復帰した時にプレッシャーなくプレーできる下地を作ることができる。その上、試合のテーマを「真剣勝負」ではなく「力試し」に摩り替える事ができ、負けたとしても自分へのプレッシャーを軽減させる狙いもあるだろう。

少し残酷な気もするが、固定した主力選手達に依存しきっていたザッケローニよりも賢明で緻密なアプローチだと言える。代表監督に求められるのは選手の能力を向上させる事ではない。それはクラブの監督に求める仕事だ。代表監督はできるだけ多くのオプションを作り、それを維持したまま4年を過ごし、W杯本番でチームが瞬間最大風速となるオプションをチョイスする。ハリルホジッチはそのための準備を、次の2戦でしようとしているのだろう。

「じゃあなぜ計算できる長谷部や吉田を呼ぶのはなぜ?」となるが、彼らまで外したら、所属クラブで好パフォーマンスをしている彼らまで外してしまえば、選考の基準がブレてしまう。その上、ポジション的に守備陣は日本サッカーにとって恒久的に人材難のポジションであり、ここのポジションは新たな人材が台頭するのは難しいだろう。

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対強豪のオプション

以前オーストラリア戦の記事で日本代表の問題点・疑問点について書かしてもらったが、まさにその答え合わせをするのにはブラジル・ベルギーはうってつけの相手と言える。オーストラリア戦では相手が勝手にボロボロとロストしてくれて、容易にボールを回収することができたが、今度の相手はそうはいかない。

まずプレスを掻い潜ることも出来るし、ロングボールでプレスをすっ飛ばすことも出来る。日本にボールを持たせて、カウンターを狙ってくる狡猾さもある。

今まで「対強豪に向けて」という一本槍でチームを強化して来たハリルホジッチだが、これからはあらゆるシチュエーションに対応できるようにオプションを増やしていく、そういう試みが求められる。
「先制点を奪われて、相手に引かれた場合はどうするか?」「プレスがハマらない場合はどう修正するか?」、「主力選手が抜けた場合の代替選手は?」この辺りを注目したい。

対戦相手について軽く触れさせてもらうと、ブラジル代表はチッチが就任してから、メンバーを固定し、非常にソリッドなチームを作っている。

カゼミーロ、アウグスト、パウリーニョの3センターは派手さは無いが、全員がハードワークでき、ボールハンティング能力だけなら世界屈指の中盤と言える。

この中盤を突破してボールを前に進めるのは至難の業だろう。そしてDFラインはPSGで連携を深めているチアゴ・シウバ、マルキーニョス、ダニエウ・アウベスの3人衆に加え、おそらく左サイドバックにはマルセロかアレックス・サンドロが入る世界最高レベルのDFラインである。ハッキリ言って日本が勝つのは難しい相手だ。引き分けでも快挙と言っていい相手である。

次にベルギー代表だが、まず無能の香りを漂わせていたヴィルモッツからスペイン人のロベルト・マルティネスに監督が代わっている。というわけでユーロ2016の頃のイノセントで無秩序な個人主義サッカーから脱却しつつある。

二列目にはアザール、デブライネ、カラスコと世界屈指の陣容を揃えている。おそらく日本人が苦手とするナインゴラン、フェライニ、ルカクなどのフィジカルモンスター達もいる。GKは世界でも五指に入るであろうクルトワ。

そう考えると、2連敗しても責められない相手である。むしろこのチームを相手に確実に2連勝できるナショナルチームが存在するなら教えてもらいたいぐらいである。スペイン代表とドイツ代表でも難しいのではないか。

前述したように、おそらくハリルホジッチは2連敗することも見据えて選手選考をしているだろう。それでも2連敗すれば、解任論がまた再燃するに違いない。私がいつも不思議に思うのは、日本代表が勝てないと、サポーターは選手の能力を度外視して「監督の能力に問題がある」と批判するが、日本代表をこのレベルのチームに勝たせるのはグアルディオラだろうがモウリーニョだろうが不可能である。そういう意味では、次の2連戦は日本代表サポーターが日本サッカーのレベルを履き違えていないかどうかを洗い出すテストマッチにもなりそうである。