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音楽コラム第7回~渋谷すばる関ジャニ∞脱退、そしてジャニーズ事務所も退社へ~ジャニーズの育成力の限界

音楽・DTM
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止めといた方が…

 

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関ジャニ∞の渋谷すばる(36)がグループから脱退し、今年12月31日をもってジャニーズ事務所から退所することが15日、分かった。この日、都内でグループのメンバーとともに会見を開き、発表した。渋谷は2月15日に「音楽を追求するために海外を拠点に生活していきたいので、事務所を辞めたい」とジャニーズ事務所に申し入れたという。18年8月から突入するCDデビュー15周年に向けた準備と打ち合わせを17年秋から準備を進めた中での、突然の申し出に驚きを隠せないメンバー、スタッフと話し合いを重ねた。最終的な話し合いの期限を、丸山隆平(34)が舞台の大阪公演から帰京する4月10日に設定したが、最終的に渋谷の思いは揺るがず、6人も決断を受け入れたという。日刊スポーツより引用。

 

うーむ…正直、最初にこのニュースを聞いた時の感想は「あーそっちの方行っちゃったか~」という感じ。別に彼の事は好きでも嫌いでもないが、「一番厳しい道を選んだ」と言わざるをえない。

一人の男として、脱退だけじゃなくて、ジャニーズ事務所まで退社するというのは、筋を通してて、カッコイイと思う。だがあまりにも無謀過ぎる。

 

「海外で音楽を勉強」というのも甚だ疑問である。まず日本でソロアーティストとして地盤を固める方が大事なのでは?芸能界ほど流行り廃りのサイクルが速い業界は無い。今は日本で活躍して「ジャニーズ時代以外のファン」を確保して行く方が重要だと思うのだが。そうしなければ彼が日本に帰ってきた時には「忘れられた人」になっている可能性もある。

現時点で、世間は彼の動向に興味を持って見ている。この状況を上手く利用しない手はないと個人的には思う。仮に現時点で「自分はソロデビューするレベルではない」と思っているのなら、赤西仁のように、「一時的に休業して留学」というやり方もあっただろう。まぁ彼が全てを承知の上で、海外に行くというなら誰も文句は言えないのだが…。

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世間とファンの評価のギャップが埋められないジャニーズアイドル

 

正直、世間の彼に対する評価も疑問だらけである。「ジャニーズ屈指の歌唱力」と吹聴するメディアもよく見るが、ジャニーズ全体の歌唱力のレベルを鑑みれば、それって褒め言葉にすらなってないと思うのだが…。

 

客観的に見て、個人的に「ジャニーズの中で上手い」と思うのは、嵐の大野智とKinKi Kidsの堂本剛ぐらいである。そしてこの二人も純粋なシンガーとしてだったら、メジャーデビューは出来なかっただろう。当然、その2人よりも劣る渋谷すばるの今後は、非常に厳しいと言わざるをえない。

厳密に言うと、渋谷は歌唱力自体は低くは無い。音程は取れている。まぁ標準と言った所か。彼の致命的なのは声質の悪さである。

 

歌声でメシが食える人間というのは、一聴しただけで記憶に残る「個性」と「説得力」がある。彼にはそれが無い。それは先天的要素なので、生まれた時点で持ってなければ終わりである。

例えば、ユーミンはNHKの審査で落とされるぐらい歌唱力こそ低いが、あの朴訥とした歌声は後にも先にも彼女だけしか有していないものである。そしてその歌声を最大限に活かした楽曲を書けるソングライティングのセンス。これが彼女を唯一無二の存在に押し上げたのだ。

 

渋谷すばるはどの要素も有してない。結果は目に見えている。なぜこんな事が起こったのか?

私はジャニーズと芸能界の構造的問題が関係していると思う。言うまでもなくジャニーズ事務所は、芸能界で強大な権力を有している。例えば、いくらジャニーズアイドルが口パクをしようとも、それを電波上で口に出していう事は許されない。そしてファンは何をしても手放しに称賛する。簡単に言うと、ジャニーズの全タレントは無菌状態で育てられているのである。

無菌状態の事を簡単に言うと「自分の能力を正確に把握出来ていない」という事になる。

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無菌状態では磨けない能力

 

日本の芸能界は良くも悪くも「持ちつ持たれつつ」的な考えが強い。「あの事務所のタレントを強く批判すれば、事務所との関係が…」という話は良く聞く。そしてその「事務所」の代表格がジャニーズ事務所である。勿論、ジャニーズ事務所の権力が所属タレントのプラスになった事は多々あるだろう。

 

例えば、嵐の誰かが連ドラマで主演すれば、そのドラマの主題歌はほぼ確実に嵐が担当している。加えてバーターでジャニーズの若手がそのドラムに出演しているのもよく見る。これはジャニーズ事務所が有する強大な権力のメリットだろう。
だがその強大な権力が所属タレントの成長を妨げているのは皮肉と言わざるをえない。渋谷すばるは10代の頃から、絶対的権力と盲目的なファンの保護を受けて育ってきた。

 

大抵のアーティストが駆け出しの頃に、ネガティブな意見と衝突し、苦悩している。ビートルズはデモテープオーディションに落ちている。ミスチルもオーディションで落とされたという話を耳にした。こういった挫折によって、音楽をやる上で非常に重要な能力が磨かれる。

 

その重要な能力とは「客観的な視点で自分のパフォーマンスや作品を見る能力」である。「何故駄目だったのか?」「次はこうしてみよう」こういうトライ&エラーの繰り返しが、アーティストの自己プロデュース能力を研鑽してくれるのだ。

 

だがジャニーズタレントは前述した通り、何をしても称賛してくれる盲目的なファンと批判を強権的に葬り去る事務所に守られている。これでは彼らの「客観的な視点で自分のパフォーマンスや作品を見る能力」は磨かれない。関ジャニの演奏をTVで観させてもらったが、ハッキリ言って酷すぎる。TVで放送出来る代物ではない。なのに盲目的なファンは「凄い!頑張っている!」と称賛する。批判はジャニーズ事務所が葬り去る。

つまり渋谷すばるは36歳になってようやく、無菌状態の部屋を出て、他のアーティストの駆け出し時代と同じ境遇を経験する。その勇気は称賛に値する。だがこれは非常に痛いタイムロスと言わざるをえない。そして彼が自分の限界に気付いた時、彼に帰る場所はあるのだろうか?それが関ジャニ∞ならいいのだが。