CLか?宿敵の前での優勝か?
関連記事:マンチェスターユナイテッド対セビージャ~夢の劇場はモウリーニョを変えるか、CLベスト8進出チームと展望
勝てば宿敵ユナイテッドの前で優勝が決まるというマンチェスターシティ。ただミッドウィークにはアンフィールドでリバプールに3-0で大敗。リバプールとの2nd Legを見据えながらのダービーという難しい状況となった。
まず両チームのスタメン。
これがシティのスタメン。ジェズスもアグエロもデブライネもベンチ。そして凡庸なダニーロがスタメン。この時点でグアルディオラの本命はミッドウィークのリバプール戦という事がわかる。
ユナイテッドはまぁベストメンバーと言っていいのでは。
前半は両チーム低調
前半は正直両チーム共に凡庸な出来だった。モウリーニョのユナイテッドが凡庸なのはいつも通りだが、シティも酷かった。シティは一番良い時の50%ぐらいのパフォーマンスだったのでは。前プレのインテンシティもそこまでではなかった。
それでもシティが試合を支配出来たのは、モウリーニョの血も涙も無いロングボールサッカーと、ユナイテッドのDFラインのビルドアップの拙さが原因だろう。
特にこの選手は酷かった…
そう左サイドバックで出場したアシュリー・鳥の糞・ヤングである。何でこのレベルの選手がユナイテッドに長年在籍出来て、試合に出場出来ているのか甚だ疑問である。右利きだから常に相手にボールを晒す形になるので、簡単にシティはボールを回収出来ていた。セビージャ戦もポジショニングの悪さでチームを死線に引きずり込んでいたが、このヤングが出場出来て、ルーク・ショーが出場できないって、どんだけルーク・ショーはショボイんだよ(笑)
間違いなく来年、ユナイテッドはこのポジションを補強する事になるだろう。しなければモウリーニョは無能。
それでもシティは低調ながらセットプレーと、お得意のサイドからエリア内に侵入する攻撃で2得点をゲット。
シティの本拠地での優勝の可能性は高いと思われたが、この後シティの凡庸選手枠のスターリングが次々とチャンスを逸機。ホーム・グロウン・ルールという縛りプレイルールが無ければ、この選手はこのユニフォームを着てピッチに立っていなかっただろう(笑)いつもより高いライン設定が裏目に出たユナイテッドは、首の皮一枚つながった形で前半を終了した。
赤い悪魔の復活
前半は「今シーズンのユナイテッド」を象徴する出来であった。簡単に言うと「犬も食わない凡庸なサッカー」と言う事(笑)原因はモウリーニョとユナイテッドの選手達双方にある。ユナイテッド対セビージャ戦の記事で私は
ユナイテッドは戦術的なチームではなく、アドレナリンとエモーショナルのフットボールをするチームだと思っている。そういう意味では今のモウリーニョは、ユナイテッドに相応しくないのかもしれない。だがユナイテッドは先日、モウリーニョとの契約を延長してしまった。ならばモウリーニョ自身が変わるしかない。
モウリーニョはレアルマドリー時代、ドルトムント相手に敵地での1st Legを4-1で大敗。ベルナベウでの2nd Legでは後半から3-5-2という超攻撃的システムでスコア2-0にし、ドルトムントに冷や汗をかかせている(あんま機能はしてなかったがww)なので監督ジョゼ・モウリーニョの脳内には「攻撃的なフットボール」という志向は間違いなく存在する。モウリーニョは攻撃的なフットボールが出来ないわけではないのだ。モウリーニョの問題はそういう危機的状況に追い込まれないと、攻撃的なフットボールに舵を切れないという所である。
と書いた。
モウリーニョはセビージャに敗れた後、12分間にも及ぶ演説を行った。世間には「自分自身を擁護し、責任転嫁をしている」と罵られた。そしてそんな自分とは反比例するように、ライバルのペップ・グアルディオラの評判は上がり続けている。「モウリーニョは終わった」そんな声が囁かれ始めた時に訪れた、宿敵が率いるライバルチームとのダービーマッチ。相手は優勝も懸かっている。スタジアムには最も敬愛する監督の一人であるサー・アレックス・ファーガソンの姿もある。シティはCLを睨んでメンバーを落としている。そんな相手に前半だけで2-0。
「危機的状況」は訪れた。モウリーニョは自分の不文律を破り捨てた。
そして同じく「危機的状況」に追い込まれて、ユナイテッドの選手達もユナイテッドのユニフォームの歴史と伝統を思い出した。セビージャ戦で気概を示したと言えるのはルカクとデヘアぐらいだろう。だがこの試合では全員がユナイテッドの選手である事の責任と誇りを示した。
今シーズン低調な怠慢プレーに終始していたポグバは、試合後にこう語っている。
「シティだけには負けたくはなかった。仮に彼らがこの試合で勝利すれば、優勝が決まっていた。ユナイテッドの全てのファンにとってそのようなことになればそれは死と同然だ。シティに負ければ、彼らのセレブレーションを目の前で見ることになっていた。これだけはさせたくなかった」
ずっと噛み合わなかったモウリーニョとユナイテッドの選手達が、初めて同じ方向を向いた。この瞬間、赤い悪魔は復活したのだった。
後半は一転してユナイテッドペースに
ユナイテッドの1点目と2点目は見事なゴールだった。1点目は敵陣右サイド深くからのスローインが起点。2点目は右サイドでルカクがロングボールを収めたのが起点。どちらも右サイド→左サイド→右サイドと展開して相手のDFがマーカーを見失うように仕向けた攻撃だった。しかも前半ユナイテッドの泣き所だったロストマシーンことアシュリー・ヤング大先生が全く関与しないようになっていた(笑)そこまで考えていたとしたらモウリーニョは恐ろしい。
結局この後スモーリングがセットプレーから決勝点を決めて、ユナイテッドはバスストップモードに突入。デヘアの魔法のおかげもあって、ユナイテッドが2-3のスコアで逃げ切った。
この記事を読んだ人には、「お前隠れユナイテッドファンかよ(笑)」とか思われそうだが、私はマドリディスタで別にどちらのファンでもない。中立的に見るなら、10回やれば9回はシティが勝つ内容だったと正直思う。
主審のマーティン・アトキンソンのレフリングも疑問だらけだった。ヤングは前半だけで退場してもおかしくなかった。今日のユナイテッドの勝利は運に恵まれた感があったのは事実。
だがこの勝利は、今シーズンのFA杯獲得と来シーズンの主要タイトルを目指すユナイテッドにとっては大きい。問題は「この状態をモウリーニョと選手が維持出来るかどうか?」である。つまり「危機的状況でなくても、今日の後半のように振る舞えるか?」という事である。それが出来るなら今後のモウリーニョとユナイテッドは面白くなるのでは。だがそれはジョゼ・モウリーニョが自分の哲学を完全に捨てて、新しく生まれ変わる事を意味する。
シティに関してだがCLベスト8の展望で書いた通り、「自分達と同等の攻撃力を持ったチーム」に出会い瓦解した。実はペップ・グアルディオラは「バス・ストップ戦術」の事はそんなに恐れていない。勝つ確率は下がるが、負ける確率も下がるからだ。彼は自分に対して牙を見せて反撃してくる相手を恐れている。13-14シーズンのCL準決勝でのレアルマドリー、アンフィールドのリバプール、そして今日の後半のユナイテッドのように。シティがプレミアでここまで勝ち続けれたのは、プレミアリーグのチームがあまりにもシティの良さを消す事に固執して、自分達の良さを出す事を忘れていたからである。そういう意味では、この試合は来シーズンのプレミアリーグの覇権争いにまで影響を及ぼすかもしれない。