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Uefa Supercup レアルマドリード対マンチェスターユナイテッド~巨人を掻き集めるモウリーニョ。時代は廻るのか?

レアルマドリード
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現代サッカーに対するモウリーニョの解答は…

 

ペップバルサが全盛だった時代にフアン・マヌエル・リージョにあるジャーナリストがこう質問した。

記者「ロングボールを使ってプレスをすっ飛ばせばペップバルサに勝てるのでは?」

リージョ「いや、この世には引力というものがあってだな、ボールが地面にある時間の方が長いんだよ」

 

8月9日に行われたuefa supercupはレアルマドリードが2-1のスコアで勝利した。(私のジャンルカ・ロッキへの心配は杞憂に終わった)

スコア通りの白熱した内容でどちらが勝っても可笑しくない内容だった。

レアルマドリーはCL決勝のメンバー+CR7のところにベイルというスタメン。
CL優勝の御褒美試合と考えると妥当なメンツと言えるだろう。

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モウリーニョのゲームプラン

前半最初はプレシーズンの好調通りにユナイテッドが積極的にプレスをかけてきた。

おそらくモウリーニョのプランは
ショートカウンターから先制

なるべくボールを回してまだベストコンディションではないマドリーを走らせて消耗させる

スペースができたところでカウンターから追加点

といったモノだったのでは(私の推測)

 

しかし前半15分過ぎぐらいにさすがにこのままだとバテると言うことで(試合会場は灼熱のコンディション)リトリート守備に移行。マドリーが試合を支配し始める。

この試合モウリーニョはマドリーの両サイドバックの攻撃をかなり気にしており、時折5バックになる場面まで見られた。しかし皮肉にもこれがマドリーの先制点への布石となった。

なんとユナイテッドの守備陣は大外を気にしていたらサイドバックとCBの間を使われてしまったのだ。

マドリーの先制点はカルバハルのパスから裏へ抜け出したカゼミーロがボレーで決めるという形のゴールだった。

サイドバックからアンカーという普通のチームなら産まれないカオスな形のゴールだったと言えるだろう。

このカオスさがジダンマドリーの真骨頂なのだが、普通の監督ならリスクを嫌ってブチ切れるはずだが、ジダンはこういう選手達の創造性こそがマドリーの真髄だと知っているのだろう。

一瞬オフサイドかな?と思ったが(オフサイドではないという証拠画像も出回っていたが審判にとっては難しいシーンだった)、リンデロフは完璧にマークを見失っており失点は時間の問題だったといえる。

 

前半はそのまま1-0で終了。ユナイテッドはムヒタリアンのお笑いズッコケドリブルと、クロースのお笑いパスからのカウンターという決定機があったが決めきれなかった。(今思えばこれが痛かった)
後半もマドリーが試合を優位に進めた。

そしてまたまたマルセロのいる大外を気にしていたのか、中をイスコとベイルがワンツーで切り裂いてゴール。

ユナイテッドはエレイラに代えてフェライニを投入。

私はエレイラ・ポグバ・マティッチの3センターは攻守のバランスがよくかなりモダンな中盤だなという認識で観ていたのだが、モウリーニョはこのバランスのいい中盤を自分で破壊してきた。

モダンな中盤を捨てたユナイテッドはモイーズよろしくのイングランドスタイルの化石時代サッカーに変貌する。

しかしこれが大当たりでレアルマドリーの運動量が落ちて、DFラインが下がってきたこともあって、放り込めばチャンスが産まれる状態になった。

結局モダンな3センターではモドリッチ・クロースのいるレアルマドリーに勝ち目なしと見たのか、ヤケクソなのかは不明だが、この交代は効果的だった。

レアルマドリーDF陣からすると「ちょっWWコイツらでかすぎ。ワロタ」状態だったはず。

結局、マドリーはロングボールでDFラインを下げさせられてこぼれ球をルカクに押し込まれ失点する。

前線からのプレッシングがあればなんとか出来たのかもしれないが、このコンディションではそれも不可能でDF陣に「あとは頼んだ」状態のマドリー。

ジダンはアセンシオとバスケスを入れてサイドの穴を防いでうまく凌いで試合は終了した。

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イングランドスタイルに回帰したユナイテッド

 

ジダンマドリーはいつも通りの「なんだかんだで気がついたら勝ってた」状態だったので、特に言うことはないのだが、モウリーニョユナイテッドについてもう少し書きたい。

 

ユナイテッドの歴史を少し振り返ると、「ファギーのイングラントスタイルのサッカーじゃCLで勝てん!」という声があって、香川・マタを獲得したりしてモダンなフットボールを目指していたはずのユナイテッド。(その時の監督はなぜかモイーズ)その後ファンハールが来てポゼッションの下地を作った(ファンには大不評だったが)。そして今のモウリーニョ期に辿り着く。

 

モウリーニョがフロントにどういう注文を受けているのかは知らないが、モウリーニョがこの試合の後半で披露したのはオールドスタイルのイングランドサッカーだった。

ファギー・モイーズの時と決定的に違うのはそちらの方が効果的だったということ(笑)

パスサッカーがトレンドとなり各クラブチームはDFにパス能力の高いテクニカルなプレーヤーを配置するようになった。その反面DFの本質である一対一の強いDFが少なくなったと言われ始めた昨今。(カンナバーロが評価されたのはこの部分。最近で言うとオタメンディ)

 

レアルマドリーのラモス&バランはどちらも兼ね備えた世界有数の人外CBなので、この試合は何とか凌いだが、ユナイテッドの肉弾サッカーはテクニカルなフットボールを志すクラブの天敵になる可能性がある。(サッリ率いるナポリなどは相性が悪いだろう)

 

サッカーでも音楽でも「今のNO.1は未来には時代遅れになる」というのは定石で、もしかしたらイングランドスタイルのフットボールがトレンドに返り咲くかもしれない。

 

そういう意味では今シーズンのペップシティVSモウリーニョユナイテッドはフットボール戦術のトレンドを巡る代理戦争になるのかもしれない。