凄く人気あるみたいですね
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菅田将暉の快進撃が止まらない。本業の俳優でも「あゝ、荒野前篇」で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。それに加えて歌手としてアルバム「PLAY」を発表。
俳優が歌手活動すると大体のケースが、「シングル一枚出して終了」みたいなのが多い。2枚目が出せれば万々歳で、アルバム発売は大成功の証と言っていいだろう。おそらくレコード会社も金になるという確信があったのだろう。
私も何曲か聴かせてもらったが、出来は悪くは無いと思った。むしろ近年発表された俳優の作品の中では上位ではないだろうか?まぁ一作品として見れば、凡庸なJPOPかもしれないが、そもそも昨今の日本音楽界は凡庸な作品しか存在しないので、俳優の作品としては一定以上のクオリティと言っていいだろう。
一応デビュー曲と2作目の作曲は大手作曲事務所の「アゲハスプリングス」が手掛けている。この事務所は音楽素人の社員が「ウチの事務所は洋楽並のクオリティ目指してるんでー」みたいな事を言うので、聴いてみたら洋楽を丸パクリしてたりするから個人的には好きではないのだが(笑)まぁ優秀な作曲家を多数抱えている事務所の一つである。
菅田将暉の声質も中々上質。だがライブパフォーマンスを観る限り歌唱力はそんなに高くない。高音を上手く歌えない場面が目立った。それでも平然と営業スマイルで口パクするジャニーズアイドルよりはマシだ。ファンもそちらの方が気持ちとリアリティを感じる事が出来て嬉しいのではないだろうか。
うん、ちょっと音程がフラットしてるね~。でもまぁ前述した通り、声質の良さでカバー出来てるね。たぶん声帯に送り込む空気の量を一定にするトレーニングをすれば音程は安定すると思う。でもまぁ忙しいだろうからボイトレに通うのは難しいのかな。
姿を消した男性実力派ボーカリスト
まぁぶっちゃけ菅田将暉は別にどうでもいいのだが(笑)私が最近感じたのは「若い世代に実力派の男性ボーカリストという存在が見当たらなくなった」という事なのだ。
女性ボーカルではAIや西野カナみたいな凡庸な歌手が「ディーバ(歌姫)」と呼ばれたりしている。だが男性ボーカリストは全く見当たらなくなった。
最近の人気の男性ボーカルを見ると、大体シンガーソングライター、バンドのボーカリスト、アイドルグループ系の3択である。
昔は鈴木雅之みたいに歌唱力を売りにした男性ボーカリストが何人かいたものだが、最近はめっきり見なくなってしまった。しいて言うならT.M.RevolutionとChemistryぐらい?それも最近の歌手とは言い難い。
20代でいる?私の知る限りではいない。三浦大知はそうなのかもしれないが、彼のデビューはアイドルユニット的なFolderなので、私的には該当しない。それに別の記事でも言ったが、彼の評価は踊りも込みなので、純粋な歌唱力だけの評価とはいえない。
クリス・ハートとかはここに該当するのかもしれないが、そもそも外国人だし(笑)クリス・ハートはゴリゴリの見た目外国人の男性がJPOPを歌うというギャップで注目を浴びたのであって、ファンには申し訳ないが、彼の見た目が普通の日本人だったら間違いなくデビューまで辿り着いていないだろう。確かな歌唱力を持っているとは思うが、歌唱力だけでデビューしたとは言えないだろう。
やはり純粋な歌唱力だけでデビューした男性ボーカリストは見当たらない。もう男性ボーカリストが歌唱力だけでデビューする事はもう不可能になってしまったのだろうか?
時代は付加価値を求める時代
考えてみると、どうやら今のリスナーは歌声よりも、その人物のバックボーン・付加価値の方が重要なのかもしれない。そう考えれば、前述した歌唱力イマイチの菅田将暉の快進撃も説明がつく。
「俳優で評価されていて、イケメンの菅田将暉が発表する音楽」という付加価値があるからリスナーは惹かれるのではないだろうか。冷静に考えて菅田将暉が歌手一本でデビュー出来るとは思えない。
前述したクリス・ハートも「外国人がJPOPを歌う」という付加価値が付随されている。
米津玄師も歌唱力も声質も低スペックではあるが、彼はトータルプロデュースできるユーティリティな才能が評価を上げているように思える。
RADWIMPSの野田洋次郎も声質は鼻詰まりで最悪だし、紅白歌合戦での「前前前世」のパフォーマンスはピッチが不安定で、歌手としてはかなりレベルが低い。だが彼は独自の世界観が特定のファンに支持され、カリスマ的扱いを受けている。
この前、有吉弘行がMCを務めるテレビ番組「超問クイズ! 真実か?ウソか?」で「この曲をカバーしているのは誰でしょう?」みたいなクイズをやっていた。流れてくる歌声だけを聞いて、【この中島みゆきの「糸」をカバーしているのは誰でしょう?】みたいな単純なクイズである。私は音楽を生業にしているので全問すぐにわかったのだが、スタジオの出演者は驚くほど当てれなかった。これは「如何にリスナーがボーカルの声を抽象的に聴いているか」という証明なのではないだろうか?
リスナーは実力派ボーカリストを拒んでいるわけではないのだ、単に聴きわける耳を持っていないのだ。もっと言えば「興味が無いのだ」。
そう考えるとただ単に声質が良く、音域が広く、声量があるだけのボーカリストは世間から見向きもされないのかもしれない。現代は実力派ボーカリストにとっては不遇の時代である事は間違い無さそうだ。そういう意味では自分をプロデュースして、様々な付加価値を自分の力で纏えるアーティストだけが生き残れる時代なのかもしれない。