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CL17-18グループリーグ第4節トットナム対レアルマドリード~「信頼」という名の錘、評決の時

レアルマドリード
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ダイヤモンドの中盤が聖地ウェンブリーでコナゴナに砕け散った

 

皆さんはこの試合はを観てどんな感想をもたれただろうか?

おそらく多くの人がネガティブな感情でこの結果を受け止めているのではないだろうか?

まぁそれも無理は無い。スカッドのクオリティの差を考えれば「勝って当然」レベルの相手であり、レアルマドリードとスペインサッカーの権威を失墜させたジダンの罪は重い。もしベニテスだったら議論の余地無く解任されていただろう。

 

だが私はハッキリ言ってこの試合が今シーズンのターニングポイントになるのではないかという期待感を抱きながら、この記事を書いている。勿論「ポジティブな意味で」である。

むしろ今日の試合で何かの間違いで勝ちでもしたら、ジダンはこのままグッダグダのイスコ王様サッカーを貫き通した恐れがある。そうならずに私はホッとしている。

もはやジローナ戦で実験結果は出ていたのだが、はっきり言ってイスコ中心の4-3-1-2システムはもはや使い物にならない代物である。

 

最初の失点シーンで相手の左サイドバックに誰もマークに行かなかったのを観れば明らかである。ジローナ戦の記事でも言ったが、このシステムは相手サイドアタッカーに対して、誰がマークに付くか曖昧になってしまうという弱点がある。結果として4-3で守備になるシーンが多発し(しかもこの日のクロースは守備におけるインテンシティ0状態)、サイドチェンジをされると相手のサイドアタッカーがフリーになってしまうのである。

結局このシステムは大体ポゼッション70%前後でプレーするようなチーム向けのシステムなのだ。アンチェロッティのミランは、平均65%以上のポゼッション率を誇っていたから、成り立ったのだ。ジダンのイケイケサッカーでは弱点の方が目立ってしまっている。

 

「じゃあなぜこの布陣でCL制覇できたのか?」という話になるが、よーく思い出してもらいたい。レアルマドリードが中盤をダイヤモンドに変更してからいい試合をしたと言える相手は、準決勝のアトレティコマドリード戦と決勝のユベントス戦である。

もうここまで言えばわかると思うが、どちらも守備的なメンタリティーを持つチームであり、どちらもレアルマドリードと殴り合おうとはしてこなかった。

その上今より両サイドバックのパフォーマンスがよく相手を押し込んだ状態でシュートまで容易に到達できたため、守備の問題が露見しなかったのだ。それでもユベントス戦の前半は守備が不安定で、後半からイスコ左、モドリッチ右に固定して攻守に安定し出して、後半の圧倒劇につながったのだ。

 

逆にバイエルン・ミュンヘンとの2ndLegでは、強力サイドアタッカーを擁するバイエルンの攻撃に手を焼いた、マルセロのスーパークリアなどがなければ敗退していてもおかしくなかったのだ。

 

そういう実験結果が過去にすでに出ていたのにも関わらず、イスコを使いたいがためにこのダイヤモンドシステムに拘り続けたジダンに評決が下ったのが、この聖地ウェンブリーで行われたトットナム戦という事。

ジダンは特定の選手への「信頼」という錘でチームを押さえつけ続けた。なのでトットナムが誤審に助けられたとはいえ、今の彼への批判と結果は妥当なものだろう。

 

この錘の最大の被害者は、ベンゼマ、ロナウドの2人だろう。ベンゼマはロナウドのためにスペースを創り、そこにロナウドが走り込む。そこにボールを流し込むだけでゴールが生まれた。なのにイスコはそのビジョンを共有しようとはせずに、ボールを持ち続け、自分の妙技に酔いしれた。

ロナウドとベンゼマのゴール数が伸びないのは、彼らが衰えたのではなく、自分達のタイミングでボールが出てこないからである。

 

CL(チャンピオンズリーグ)というコンペティションにおいて、ベンゼマとロナウドだけで150点以上のゴールを決めている。間違いなく史上最強の2TOPなのである。

仮にイスコがメッシ級のパフォーマンスで、年間50ゴール以上決めるのなら今のままでもいいが、どう考えても利益よりも支出の方が上回っているのが現状である。これがジダンがチームに背負わせ続けた「信頼」という名の錘の実態である。

試合後にロナウドが「契約延長をしない」といった主旨の発言をしていたのは、当然と言える。彼はわかっているのだ、何がチームの不振の元凶なのか…。そしてそれに気付かないジダンに対しても怒っているように見えた。

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今までとは違う興味深い実験結果から光明が…

 

だがネガティブな実験結果だけではなく、ポジティブな実験結果も出ている。

3-0になった時に、ジダンはマジョラル、アセンシオの2人を投入した。私が観たかったアセンシオ、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドのABCは観れなかったが、マジョラルがベンゼマに代わって入ったMACを観る事ができた。

 

これは今までになかった興味深い采配であり、今までのジダンだったら狂ったようにルーカス・バスケスを投入していただろう。マジョラルは献身的にプレスをかけ、正確なポストワークでリズムを作った。アセンシオもシンプルにボールを回し、ロナウドとプレービジョンを共有して、相手守備を動かそうとプレーしているのがわかった。

彼ら二人が入ってから、ゲーム内容が好転し、ゴールが生まれたのは偶然ではなく必然である。

ボール回しのテンポが上がり、ピッチの幅を使えるようになったため、トットナムの守備陣を押し込めるようになり、ロナウドのシュート数が増えたのだ。

 

逆にイスコが出場していた時で、マドリーのチャンスシーンでイスコが起点となったチャンスがあっただろうか?イスコがロナウド、ベンゼマにシュートにつながるようなパスを出したシーンがあっただろうか?それが答えである。

仮に「マドリー史上最高のパサー」であるグティがイスコのポジションでプレーしていたら、ロナウドは前半だけでハットトリックしていてもおかしくなかった。それがぐらいトットナムのDFラインの高さはリスキーだった。だがイスコはずっとボールを無駄にキープするだけで、ロナウドが天を仰ぐというシーンが多発した。

 

テオのサイドハーフ起用は精度が伴わずイマイチだったが、本来ならベイルを使いたかっただろうから、これは不問としたい。

 

この試合の実験結果で重要なことは、

①ジダンがルーカス・バスケスに対する拘りを捨てた事。

②マジョラル、アセンシオが出場し試合内容が好転した。

この2点である。

 

ジダンにはこの結果を重く受け止め、その答えをラスパルマス戦で見せてもらいたい。
もし彼が頑なに「信頼」という名の錘をチームに背負わせ続けるなら、今度はジダン自身に「解任」という評決がくだるかもしれない。

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プレミアの復権、リーガエスパニョーラ衰退という風潮に一言

 

しかしメディアの節操のなさには驚かされる。グループリーグの結果を受けて。「プレミアの時代が来た」、「リーガがCLを支配する時代は終わった」と言った声がメディアから聞こえてくる。

私はマドリディスタではあるが、公平な視点で観て、トットナムがそれ程強いチームだとは思わない。負け惜しみに聞こえた方は戯言だと思って聞き流していただきたい。トットナムが勝ったのは「誤審」と「同じ条件で実験失敗を繰り返すジダンの狂気」のおかげである。

 

彼らがプレミアで優勝するとは思えないし、CLでも良くてベスト8だろう。弱くはないが、ヨーロッパで言うと良くてトップ20以内といったところだろう。ポチェッティーノいわく「ヨーロッパ有数のチーム」らしいが、私には到底そうは思えない。トットナムでマドリーでスタメンになれる選手がどれだけいるだろうか?ロリスとオーリエくらいではないだろうか?まぁそれぐらいジダンの采配が酷かったという事なのだが…。

 

デレ・アリやケインを次世代のバロンドーラーに推す声もあるが、私はそこまでの凄さを感じなかった。グッドプレーヤーだがレジェンドになれるレベルではないのではないか。オープンスペースならそれなりに躍動するが、相手がスペースを消してくるメガクラブでは今ほど快適にプレーできないのではないだろうか。日本のプレミア専門の代表的有識者が、「コバチッチよりデレ・アリの方が断然上」という旨の発言をしたそうだが、そういう見識の甘い有識者が代表になっている時点で、今の「プレミア上げ」の風潮は信頼に値しないと感じる。

トットナムのポチェッティーノをグアルディオラと並ぶレベルの名将扱いをする風潮も個人的には疑問である。彼は確かに相手を罠に嵌めるのは上手いが、彼がメガクラブを率いて上手く行くようには見えない。ジダンを罠に嵌めるなんて、リーガの3部チームの監督でもできたのだから、過剰に評価されすぎているように感じる。ていうかたぶん私でもできる(笑)

 

ただ今シーズンのプレミア勢が近年で一番期待できるという意見には同意せざるをえない。まぁ優勝の可能性があるとしたら、マンチェスターの2チームだが…..。

私はマドリディスタとしてこのレアルマドリードというクラブの哲学・歴史・情熱を信じている。だから、こんな時こそチームをサポートしたいと思っているし、マドリーならここから巻き返してくれると信じている。だが全てはジダンの手とそれを見守るペレスに委ねられるということも知っている。

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選手評

 

カシージャ 失点は彼の責任ではない。役割は全うした。

 

マルセロ やはり、まだコンディションが上がらない。W杯イヤーのブラジル人はモチベーション維持が難しいのだろうか?まぁ手を抜いているという事は無いだろうが、そろそろ状態を上げてもらわないと…。ただCR7の動き出しを常に見て、パスを出せるという点は評価したい。代表ウィーク明けに期待。

 

セルヒオ・ラモス 基本的に彼は世界一のパルプンテディフェンダーだと思っている(笑)だが今日は彼の闘志が悪い方に出たという印象だ。そろそろバジェホを使って休ませて、リフレッシュさせてもいいかも。言いたくないが、リーガは現時点でもっともプライオリティが低いコンペティションだ。

 

ナチョ 良くやっていたと私は思う。「ペペならば」という人がいるが、ハッキリ言ってペペでも今日の内容なら変わらないだろう。

 

アクラフ 彼に関しても、攻撃の精度を批判する声を耳にするが、18才でここまでできれば十分ではないだろうか。ダニーロは毎回決定機を相手に献上していたのだから、ここもダニーロがいてもたいして変わらなかっただろう。嘘だと思う方は昨シーズンのアトレティコとの2ndLegを見直してもらいたい。メチャクチャ酷いから(笑)。試合終了間際にデンベレの股を抜くパスを出した所に彼のメンタリティを見た気がした。ジローナ戦も書いたが、守備時のポジショニングも含めて今後の成長に期待したい。

 

カゼミーロ まぁ普通かな。あんま印象に残らなかった。

 

クロース 悪い意味で印象に残った。サイドチェンジの精度も悪いし、守備のインテンシティも低い。どこか怪我しているのだろうか?それとも舐めプしているだけなのだろうか?彼の場合は全く判別できない(笑)

 

モドリッチ 状態の上がらないチームを何とか動かそうと苦心した。彼もCR7の動き出しを見て、パスを出していた。彼が長期離脱すれば間違いなく「THE END」である。途中交代はそれだけ重要な選手という証だろう。

 

イスコ 間違いなく今日のワースト。一度もCR7の動き出しに対してパスを出さなかったのではないか。かといって独力で突破できるわけでもない。良かったのはジダンが彼を交代させたという一点だけだ。

 

ベンゼマ 一応やるべき事はやろうとしていた。だがまだまだコンディションがトップフォームではないと言う印象。イスコのプレーに戸惑っているように見えた。アセンシオ、ロナウドは固定でマジョラルとベンゼマを競わせたい。

 

CR7 試合後のインタビューでフラストレーションを爆発させたのは致し方ないだろう。例えるならば、野球チームの絶対的エースで4番だったのに、監督の息子がチームに入ってきて、公私混同采配でその座を奪われたようなものだ。後半イスコがいなくなってから彼が蘇ったという事実にジダンが気付くように願う。まだまだウイングとしてもやれる。4-3-3回帰を望む。

 

マジョラル ベンゼマにない献身的な守備、ポストワークも向上している。それにCR7がフリーになれるように囮の動きも怠らない。なぜこんな駒として有用な選手をベンチ外にしていたのか理解に苦しむ。

 

アセンシオ イスコの問題点を明らかにする、見事な回答をプレーで示した。彼の事を1発屋扱いする批判も聞こえるが、それはあまりにもフットボールを見る目が無さ過ぎる。

 

テオ スピード、突破力は魅力的だが、如何せん精度が…。まぁ彼もアクラフと同じで若い選手である。これからの彼に期待したい。アセンシオをウイングバックで使うよりマシである。

 

ジダン 自作自演といってもいいぐらい、試合の90%は彼の采配ミスで構成されていたのではないだろうか。交代も遅すぎる。ハーフタイムに動いていたら勝てた試合だろう。ただルーカス・バスケスを使わなかった、イスコを外したという点は評価したい。サイドの攻撃力が低下しているのだからアセンシオを右に置いて4-3-3にすべきなのは、今日の試合で明確になった。ラス・パルマス戦に期待したい。